「オラオラ顔で威圧される……」 巨大化するフロントグリル、なぜ自動車メーカーは美学を捨てて拡大するのか?

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世界86か国で中国ブランドが前年比18%増の1971万台を記録。巨大化するフロントグリルは、嗜好と市場戦略を映し、欧州・日本メーカーの存続戦略を如実に示す。

路上の二極化と実利優先の戦略

フロントグリル巨大化の理由。
フロントグリル巨大化の理由。

 フロントグリルの巨大化を巡る議論は、結局のところ、メーカーがどの顧客層を重視し、誰を切り捨てたのかを如実に示している。

 愛好家が懐古的な美意識に基づき批判を繰り返しても、企業は冷静な現実主義者として振る舞う。彼らにとって、旧来の価値観を守ることよりも、利益を生む市場の期待に応えることの方が、存続を左右する優先事項となる。

 路上を行き交う車は、効率性を追求した無機質な移動手段と、過剰なまでの記号性を備えた嗜好品へと、徐々に二極化していく。もし今の過激なフロントフェイスに違和感や拒絶感を覚えるなら、それはすでに自分がメーカーにとって最重要の顧客ではなくなったことを突きつけられているようなものだ。

 美学を後回しにしてでも利益を追求する。そうした実利優先の判断が、2026年の自動車産業における、生々しい生存戦略だろう。

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