「EV = 走るスマホ」という表現は正しいのか?――ネットの定番フレーズを“冗談半分”で検証してみた

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EVは「走るスマホ」と呼ばれるが、産業構造や責任範囲はスマホとは大きく異なる。テスラとトヨタの戦略対比を通し、情報化と物理的制約の狭間で揺れるEV産業の実態を検証する。

参入障壁の変化

シャープ・LDK+(画像:シャープ)
シャープ・LDK+(画像:シャープ)

 従来のエンジン車に比べ、EVは機械構造が単純であるため、異業種からの参入は比較的容易である。その結果、従来の自動車メーカー以外からの参入も増え、とりわけ電子分野を中心に動きが活発になっている。

 家電メーカーのソニーやシャープはすでに参入しており、アップルやダイソンも過去に検討した経緯がある。ただ、構想を練る段階と、実際に量産を継続する段階との間には、依然として大きな断絶が存在する。

 自動車の量産には、数万点に及ぶ部品の品質を均一に保ちながら、分単位で稼働するラインを数年間維持する高度な管理力が求められる。EVの量産で製品保証や法規適合を果たすには、膨大な資本投下を伴う高コスト構造を避けることはできず、新規参入者にとって大きな障壁となる。

 また、各国の厳格な型式指定制度に適合し、販売後も数十年にわたって部品供給や安全上の責任を負い続けるという義務は、情報産業で求められる責任とは比べものにならない重さを持つのだ。

 こうした障壁が消えることはないが、その性質が変わりつつある点には注目に値する。参入を目指す企業にとって重要なのは、新技術の有無よりも、社会的信頼を獲得し、数十年単位でサポートを維持できるかどうかに集約される。この視点は、EVの保証制度や法規制のあり方に新たな展開が生まれる可能性を示唆している。

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