「EV = 走るスマホ」という表現は正しいのか?――ネットの定番フレーズを“冗談半分”で検証してみた

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EVは「走るスマホ」と呼ばれるが、産業構造や責任範囲はスマホとは大きく異なる。テスラとトヨタの戦略対比を通し、情報化と物理的制約の狭間で揺れるEV産業の実態を検証する。

インフラ依存の重さ

テスラ・スーパーチャージャー(画像:テスラ)
テスラ・スーパーチャージャー(画像:テスラ)

 EVもスマホも、どちらもインフラへの依存度は高い。しかし、その整備には巨額の社会的投資が伴い、誰がどの程度負担するかは常に議論の的となる。EVの場合は、充電網や電力供給が前提条件となる。市街地での充電インフラの整備状況は、そのまま普及率に直結する。一方で地方や山間部のように整備が遅れた空白地域では、走行中のバッテリー切れへの不安を払拭できなければ、需要の喚起は難しいだろう。

 スマホの普及が通信容量の拡大を求めたのと同じように、EVの普及は国家レベルでの電力需要の変化をもたらす。ここには企業のサービス提供範囲を超えた課題が存在し、地政学的なエネルギー調達や送電網の強靭化とも関わる。移動する車両は移動手段にとどまらず、電力需給を調整する仮想発電所の役割も社会から期待されることになる。

 こうしたインフラ投資のコストを、メーカー、エネルギー企業、あるいは納税者のどこが負担するかという点は、通信網整備を巡るIT産業以上に複雑で、根深い経済摩擦を生む。

 一方、スマホは5GやWiFiといった通信環境が整っていれば利用できる。ただ制約の性質は異なる。携帯電話会社は過疎地でも通信網整備に取り組み、カバー率を高めてきた。災害時に通信手段が確保されないことは生命に直結するため、通信網整備はスマホ普及と並行して進める必要がある。

 こうして見ると、どちらもインフラ依存を抱えつつ普及を進めている点は共通しているが、社会投資の負担の所在や制約の性質には大きな違いがあることがわかる。

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