「EV = 走るスマホ」という表現は正しいのか?――ネットの定番フレーズを“冗談半分”で検証してみた

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EVは「走るスマホ」と呼ばれるが、産業構造や責任範囲はスマホとは大きく異なる。テスラとトヨタの戦略対比を通し、情報化と物理的制約の狭間で揺れるEV産業の実態を検証する。

ハードとソフト、価値を決める主体

アプリのイメージ(画像:Pexels)
アプリのイメージ(画像:Pexels)

 EVの価値は、まず走行性能や耐久性といった自動車としての基本的な要素にある。その上で、ソフトウェアが機能を担う車両、いわゆるSDVにおいては、ユーザーが求める利便性や安全性に応えることで、価値はさらに高まる。

 先進運転支援やエネルギーマネジメント、UI/UXといった領域でソフトの比重は上がっているものの、全てをソフトで置き換える完全移行には至っていない。自動車としての土台が前提にあり、ソフトは競争力に影響を与える部分が増えつつある段階だ。

 これは、物理空間を移動する製品として避けられない制約に起因する。スマホではアプリの更新で機能が劇的に変化するが、EVでは電力消費効率や航続距離といった物理現象が製品力を決める。

 ソフトの役割は、バッテリーの化学反応やモーターの出力を効率よく引き出し、ハードウェア本来の力を最大限に活かすことに集中している。情報処理だけで物理的限界を突破することはできず、価値の基盤はハードウェアの磨き上げにあるのだ。

 一方でスマホでは、OSやアプリが主要な価値軸となる。ソフトの更新による拡張性によって利便性は高まり、ユーザー体験を直接変える点ではEVと共通する部分もある。しかし、自動車では物理性能が体験の枠組みを制限するため、価値の生まれ方自体がスマホとは異なる。

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