「世界2位の線路網」「支出は欧州最下位」スペイン高速鉄道、相次ぐ事故が示した“拡張優先”の代償
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2026年1月、スペインで2件の鉄道事故が相次ぎ、死者47人超、負傷者150人超に。高速鉄道の利用倍増とインフラ維持費の不足が重なり、安全管理の限界が露呈した事態である。
安全神話を受け入れる社会、問い続ける社会

スペインではレールの劣化や破損といったトラブルが2015年から2024年にかけて増え続け、この間に件数はおよそ1.6倍に膨らんだ。脱線を含む事故も例外ではなく、同じ期間で42件から57件へと増えている。2026年1月18日と20日に起きた事故も、短期的な不具合というより長年にわたって続いてきた事業の成り立ちが影を落とした結果と見るのが自然だろう。
この状況は決して他国の話として片づけられるものではない。日本でも人口減少が進み、利用者の減少や人材不足が重なれば鉄道インフラの維持管理が難しくなる局面は現実味を帯びてくる。条件が違っても、支える人と資源が細る構図は共通している。
鉄道インフラの管理者が事業を続けていくには、日々の運用や保守のやり方、経営の効率を見直すだけでは足りない。安全性をどう高めていくかを同時に進める必要がある。そうした取り組みの結果を継続的に振り返り、次に生かしていく。その積み重ねがあってこそ、既存のインフラを適切な状態で保ち続けることが可能になるはずだ。