「世界2位の線路網」「支出は欧州最下位」スペイン高速鉄道、相次ぐ事故が示した“拡張優先”の代償
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2026年1月、スペインで2件の鉄道事故が相次ぎ、死者47人超、負傷者150人超に。高速鉄道の利用倍増とインフラ維持費の不足が重なり、安全管理の限界が露呈した事態である。
例外視される日本の鉄道

日本では鉄道インフラに起因する事故は国際的に見ても少なく、全体として事故件数は長い目で減ってきた。国土交通省の統計によれば、2003年に862件あった事故は2023年には682件まで減っている。内訳を見ると、その多くは人身事故で、全体のおよそ58%を占める。駅ホームからの転落、決まりを守らない線路内への立ち入り、踏切の無視などが主な原因だ。
一方で列車同士の衝突や脱線、火災といった列車事故は全体の約1.2%にとどまる。こうした低水準を支えてきた背景として、列車のブレーキを自動で制御するATSやATCなどの仕組みが線路の区間ごとに整えられてきた点が挙げられる。
これらは2005年4月に起きた福知山線の脱線事故を受け、カーブや分岐器、線路の終端、下り勾配などでの整備が義務づけられた。そのほかJR東日本では鉄道事業全体の支出のうち保守関連が約3分の1を占めている。過去の事故や点検、補修作業を通じて蓄積された膨大なデータをもとに、日々の手入れを重ねてきたことも現在の安全水準につながっているとみられる。
ただしこうした状況が今後も続くと決めつけることはできない。人口減少による利用者の減り方、現場を支える人材の不足が進めば、スペインで見られるように鉄道の維持管理が立ち行かなくなる可能性もある。そのため保守のやり方を含め、費用のあり方を根本から見直す必要性が高まっている。近年では保守費を抑えることを意識した新しい仕組みや手法の開発も進み始めており、将来に向けた模索はすでに始まっている。