「ネコ駅長」人気でも赤字850万円! 和歌山電鉄が上下分離再スタート、自治体負担増で「本当に地方線維持は可能なのか」
ネコ駅長で訪日客を集める和歌山電鉄貴志川線は、14.3kmで年850万円の赤字を抱える。全国で8割超が赤字の地方鉄道は、2028年を目標に上下分離方式へ活路を探る。観光と公共インフラの両立が、いま問われている。
ネコの駅長が呼び込む訪日客

至るところにネコの駅長が描かれた2両編成の「たま電車」が、和歌山駅(和歌山県和歌山市)を出発し、住宅街を抜けて農村部をひた走る。沿線の短大へ通う女子学生が下車すると、車内は韓国や台湾から来た訪日外国人観光客が大半に。12月上旬に乗車した和歌山電鉄貴志川線は、朝のラッシュが終わっても、にぎわいを見せていた。
韓国の釜山から来た女子大生と母親は
「たま駅長をネットニュースで見て以来、来たいと持っていた。たまはもう死んだけど、新しいネコの駅長が貴志駅にいるので、会いに行く」
と笑顔をこぼす。
貴志駅では、ガラス張りの駅長室にいる後継者のごたまに訪日客らが興味津々。居眠りしていたごたまが目を覚ますと、しきりにシャッターを切っていた。ネコの駅長人気に衰えの気配は見えないが、鉄道経営の裏側をのぞくと話が変わる。