国際線停止の危機! タイ「ノックエア」凋落から学ぶ、日本航空界が絶対に繰り返せないガバナンスの教訓とは?

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タイ国際航空の子会社として2004年に設立されたノックエアは、国内24都市を結ぶ路線網を築き、2013年には上場を果たした。しかし労使対立や安全問題、コロナ禍による経営破綻を経て、2025年には全国際線運航停止に追い込まれるなど、LCC運営の難しさを象徴する存在となった。

ガバナンス欠如の影響

ノックエアのウェブサイト(画像:ノックエア)
ノックエアのウェブサイト(画像:ノックエア)

 ノックエアの経営には、タイ航空当局の安全審査の不備やコロナ禍といった不運な要素があったことは事実である。しかし、パイロットとの労使対立による離職の増加や、それにともなう人員不足の問題は、同社の管理体制の問題と無関係ではない。現場人員の状況を十分に考慮せず、安全運航を軽視したガバナンスの欠如が、ノックエア凋落の最大の要因といえるだろう。

 問題はノックエアだけではなく、親会社であるタイ国際航空にもある。2000年代以降、同社は高い給与水準や深刻な労使対立、政界との癒着、客室乗務員による不祥事、採算の取れない大型機の保有など、多くの課題を抱えていた。

 そのなかで、ノックエア、タイスマイル、ノックスクートと、株式関係のあるLCCを3社も保有していたことから、管理が行き届かなくなるのは想像に難くない。当時のタイ国際航空は、日本のJALとANAの悪い部分を合わせたような会社であり、健全に航空会社を発展させているとはいえない状況であった。

 国連の機関から安全性に懸念を指摘されるほどの状態に陥ったタイの航空当局は、問題のある組織であったといわざるを得ない。積極的な自由化により、多くの会社に門戸を開き、これまで飛行機に乗れなかった人々も頻繁に移動できるほど航空需要を高めた点は評価できる。

 しかし、安全で競争力のある航空会社を育成するという観点では、質の低い会社を放置するなど怠慢な部分が多かった。その結果、日本を含む主要国への新規路線展開が禁止されるなど、航空会社の成長に大きな制約がかかり、育成に失敗した。外資系のタイエアアジアがシェア1位となるなど、外資に有利な状況を生んでしまった。

 現在では規制は解除され、タイの航空当局もノックエアの国際線運航停止など、厳しい対応を行うようになり、2010年代までの教訓を一定程度反映して業務を進めている。しかし、安全性という最低限の条件を無視して航空自由化を進めたことは、自国航空業界の競争力低下につながった。その責任は重い。

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