国際線停止の危機! タイ「ノックエア」凋落から学ぶ、日本航空界が絶対に繰り返せないガバナンスの教訓とは?

キーワード :
,
タイ国際航空の子会社として2004年に設立されたノックエアは、国内24都市を結ぶ路線網を築き、2013年には上場を果たした。しかし労使対立や安全問題、コロナ禍による経営破綻を経て、2025年には全国際線運航停止に追い込まれるなど、LCC運営の難しさを象徴する存在となった。

パイロットとの対立

ノックエア(画像:ノックエア)
ノックエア(画像:ノックエア)

 当時のタイでは民間航空会社による事故や不祥事が相次ぎ、安全性への懸念が大きな問題となっていた。2015年3月、国連の国際民間航空機関(ICAO)はタイ航空局に対し、「重大な安全上の懸念がある」と発表した。これを受け、タイの航空会社は日本をはじめICAO加盟国への新規就航や増便、機材変更などが制限される状況に陥った。

 同年12月には国際航空運送協会(IATA)がタイの民間航空の安全性を引き下げる判断を示した。これはノックエアだけの問題ではなく、他の航空会社にも問題があったため、一概に同社だけを責めることはできない。

 しかし2016年2月、経営陣は多くのパイロットが国際的な安全基準を満たしていないと指摘した。これに対しパイロット側は「満たされていないとされる基準は社内規定であり、安全基準とは関係ない」と反発した。その結果、ストライキが発生し、約1500人がドンムアン空港で立ち往生する事態となった。

 ノックエアは運航基準をめぐり、マネージャー職にあったパイロットを解雇せざるを得ない状況に陥った。その後、パイロットの離職はさらに深刻化した。新規路線の開設だけでなく、既存路線の維持も困難となった。

 長距離便を運航する子会社ノックスクートも、ICAOの指摘を受け成田便を運航できないなど経営状況は厳しく、設立当初から採算性に苦しんでいた。

 こうした問題を抱えるなか、2020年のコロナ禍が直撃した。観光需要の大きいタイでは影響も大きく、5月にはノックエアの親会社であるタイ国際航空が経営破綻した。かつて東南アジア屈指の航空会社として知られた同社の破綻は、航空業界に大きな衝撃を与えた。

 2020年6月にはノックスクートも破綻し、従業員425人が解雇される事態となった。そして7月、ノックエアは破産法に基づく会社更生手続きを申請し、経営再建に入った。タイ国際航空のもう一つの子会社であるタイスマイルもコロナ禍の影響を受け、2023年に親会社に吸収合併されている。

全てのコメントを見る