新車トラックを「鉄道輸送」 三菱ふそうが挑む日本初の試み、脱炭素だけじゃないもう1つの理由とは
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三菱ふそうトラック・バスは、鉄道輸送をできるだけ使う方針を固めた。2022年夏までに実証試験に移るという。このシフトの背景には環境配慮だけではない事情があった。
鉄道輸送はエコ

トラックメーカーの三菱ふそうトラック・バス(川崎市)は、自社製造の新車トラックを全国の販売店に輸送する際、鉄道輸送をできるだけ使う方針を固めた。2022年夏までに実証試験に移るという。
新車トラックの鉄道輸送は昭和30~40年代によく行われていたイメージがあるが、大々的に行われていたのは乗用車で、商用トラックについては過去に一切なく、これが日本初の快挙となる。
現在、同社は部品の調達から製造、販売に至るまでのバリューチェーン(製品が顧客に届くまでの流れ)全体で二酸化炭素(CO2)削減の取り組みに挑んでおり、これに資するのが主たる狙いだ。
新車の国内輸送に関して、国内自動車メーカーの場合、自走または自動車運搬車などトラック輸送が大半。一方、輸送手段別で比べると、「貨物1tを1km運搬する際のCO2排出量」は
・営業用トラック:225g
・船舶(内航海運):41g
に対して
・鉄道:18g
と圧倒的低さを誇る。実に営業用トラックの8%、船舶の44%なのだ(国交省2019年度換算)。
まだ詳細は明らかにされていないが、同社は国内に有する唯一の完成車組立工場・川崎製作所(川崎市)で製造されるトラックを、近隣のJR貨物の貨物駅から貨物列車に載せ、目的地近くの貨物駅で受け取り、販売店あるいは顧客のもとに届ける予定だ。
同工場の近隣には臨海部に「川崎貨物駅」、内陸部に「梶ヶ谷貨物ターミナル駅」が控えているため、どちらかを選ぶのだろう。もしかしたら前者は東海道線と直結し、後者は武蔵野線経由で中央、上越、東北各線などにアクセスするため、前者は主に西日本向け、後者は東日本向けと使い分けるのかもしれない。