運送ビジネスはサービス業なのか? 会社の将来を左右する従業員の意欲【どうなる? これからのトラックドライバー#1】

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働き方改革による労働時間上限規制や自動運転・無人運転トラックの出現など、運送ビジネスは10年以内に大きく変わる可能性が高い。これからのトラックドライバーはどうなるのだろうか。

「手積み手卸しには戻れない」…運送会社のジレンマ

高速道路のサービスエリアに駐車しているトラック(画像:写真AC)。
高速道路のサービスエリアに駐車しているトラック(画像:写真AC)。

「もう、手積み手卸しはできないですよ」──これは、私が面談した運送会社A社に勤めるトラックドライバーの発言だ。

 私は、A社社長からの依頼を受けて、A社に勤めるドライバー全員と面談を行っていた。先の発言は、一人のものではない。複数のドライバーが、同様の発言をした。

 私に依頼をしたA社の社長は悩んでいた。社長は、自社ドライバーたちの負担も考え、車上渡しの運送案件ばかりを取り扱ってきた。車上渡しとは、トラックから貨物を卸す荷役を基本すべて配送先作業員が行う荷役方式である。ドライバーたちは、ほぼ荷役を見ているだけの状態なので負担は少なく、当然ドライバーたちの仕事に対する満足度も高く、愛社精神も高い――と、社長は思い込んでいた。

 だが、車上渡しの仕事は条件が良いため、運賃が安いケースもある。経営のことも考えると、手積み手卸しのような、ドライバーに負担が掛かる仕事も、今後は新規に獲得することを考えていかなくてはならない。

 しかしそのことをドライバーに打診したところ、猛反発を浴びたという。そこで、社長は第三者である私に、ドライバー全員と面談を行い、本心を聞き出してほしいと依頼をしてきたのだ。

 私がドライバーと面談をしたところ、興味深い本音を聞き出すことができた。

・手積み手卸しをするくらいなら、今の給料のままで良い。
・今の仕事が楽なので、今さら手の掛かる手積み手卸しのような運送案件に対し、対応していく自信がない。

 社長は、これまで良い思いをさせてきたのだから、多少しんどい仕事でも協力してくれるものと思っていた。だがドライバーたちの本音は、社長の期待とは異なっていた。ドライバーたちに愛社精神は乏しく、給料は安くとも、仕事が楽だから我慢してA社で働いているだけだったのだ。

 このケースでは、そもそも社長とドライバーたちの人間関係にも問題があった。普段から社長は、「楽な仕事をさせてやっているんだから……」といった趣旨の発言をして、ドライバーたちから反感を買っていたらしい。

 だが少なくとも、A社の社長が、ドライバーのことを思って、車上渡しというドライバーに負担の少ない仕事ばかりを扱ってきたことは事実だ。経営が苦しくなりドライバーに協力を求めたところで、そっぽを向かれてしまったのは、とても残念ではある。