「無料だけじゃ差がつかない」 今、ビジネスホテルで“朝食戦争”が勃発しているワケ

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立地・客室・料金が拮抗するビジネスホテルで注目されるのは朝食。バイキング形式は満足度向上と効率化を両立する一方、フードロスの課題も顕在化。TABETEや完成度重視の定食設計により、口コミ評価3.6→4.5点、ロス半減の成果も現れている。

セットメニュー定着の壁

2008年より朝食バイキングを無料化したルートイン(画像:ルートインジャパン)
2008年より朝食バイキングを無料化したルートイン(画像:ルートインジャパン)

 ビジネスホテルの多くは、朝食にバイキング形式を採用している。リゾートホテルや温泉旅館のように、和定食や洋定食などのセットメニュー、あるいはハーフバイキングといった形態は少ない。

 バイキング形式は、セルフサービスによって人件費を抑えられるという供給側の利点がある。一方で、利用者にとっても、好きな料理を好きなだけ選べる自由度が魅力だ。合理性を重視するビジネスホテルでは、この形式がもっとも両者の利益を両立できる仕組みとなっている。

 2008(平成20)年、ルートインが朝食バイキングを原則無料化したことで、業界の潮流が大きく変わった。大手から中小まで、多くのホテルが追随し、郷土料理を取り入れるなどメニュー競争も激化した。無料化はもはや差別化ではなく、

「参入の前提条件」

となった。

 その流れを断ち切ったのが、2020年以降のコロナ禍である。衛生面の懸念から、多くのホテルが朝食バイキングを中止した。代わりに、セットメニューや弁当形式への切り替えが進んだ。バイキングを継続する場合も、蓋付き小鉢や個別盛りなど、衛生対策が徹底された。

 一時的に、ホテル側の「提案型メニュー」としての定食や、客室で完結する弁当スタイルの利便性が見直された。しかし、コロナ禍が落ち着くにつれ、再び主流はバイキングに戻った。

 朝食バイキングは、手軽さと満足度を両立できるフォーマットとして、業界標準の地位を固めつつある。ビジネスホテルにおける

「朝食 = バイキング」

の構図は、当面揺るがないだろう。

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