「無料だけじゃ差がつかない」 今、ビジネスホテルで“朝食戦争”が勃発しているワケ
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立地・客室・料金が拮抗するビジネスホテルで注目されるのは朝食。バイキング形式は満足度向上と効率化を両立する一方、フードロスの課題も顕在化。TABETEや完成度重視の定食設計により、口コミ評価3.6→4.5点、ロス半減の成果も現れている。
朝食強化の背景

ビジネスホテルは、立地、客室の広さ、設備スペック、宿泊料金という四つの要素で選ばれる傾向が強い。これらは数値化しやすく、比較が容易なためだ。リゾートホテルや温泉旅館のように、食事や温泉、景観、付帯サービスといった感覚的な魅力で差別化する余地は小さい。
では、ビジネスホテルには、これら4要素以外で勝負できる領域はないのだろうか。唯一とまではいえないが、差別化の余地があるのは
「朝食」
である。素泊まり需要が大きい業態ゆえ、朝食が決め手になるケースは多くない。それでも、立地や料金、客室設備などが拮抗する環境では、朝食の完成度が最終的な選択要因になる。
各社が大浴場などの付帯施設を整備する動きもあるが、設備投資には多額のコストがかかる。その点、朝食の強化は比較的低コストで効果を見込める。結果として、多くのビジネスホテルが朝食を「勝負の場」と位置づけるようになった。
一方で、朝食競争にあえて参戦しないホテルもある。館内のテナントに提供を委ねたり、周辺飲食店と提携して朝食機能を外部化したりするケースだ。しかし、業界全体で見れば、朝食はもはや
「主戦場」
となりつつある。味や品数だけでなく、地域食材や演出力を競う時代に入ったといえる。