地方のレンタカー店に「SUV」「ミニバン」が多い理由──都市はコンパクト車なのに? 道路・気候・生活環境が導く車種選択とは

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地方と都市でレンタカー需要は明確に分かれる。全国109万台に達した車両は、都市部ではコンパクト中心、地方ではSUVやミニバンが主力だ。インフラや気候、旅行者ニーズが選択を左右し、地域経済に新たな動きを生む。

地方都市のレンタカー事情

地方のレンタカー店のイメージ。生成AIで作成。
地方のレンタカー店のイメージ。生成AIで作成。

 旅行や出張で訪れた土地のレンタカー営業所で、「見慣れない車種」を目にして驚いた経験はないだろうか。都市部では燃費重視のコンパクトカーや軽自動車の需要が高い一方、地方では排気量の大きなスポーツタイプ多目的車(SUV)やミニバン、商用バンの存在感が強まる傾向にある。この違いは偶然ではない。都市と地方の交通インフラや気候、住民のライフスタイルが深く影響している。

 近年、レンタカーサービスは我々の移動における重要な社会インフラとしての役割を担う。全国レンタカー協会によれば、2024年3月末時点で全国のレンタカー車両総数は約109万台に達した。過去10年で40万台以上増加しており、コロナ禍からの回復も重なって右肩上がりの成長が続く。レンタカー需要の拡大には、

・国内旅行・レジャー需要の再活性化
・インバウンド観光の回復

が寄与している。日本政府観光局(JNTO)によれば、2024年の訪日外国人数は3687万人に達し、コロナ禍前を大きく上回る水準まで回復した。特に地方では、公共交通では巡りきれない景観や文化資源を求める旅行者がレンタカーを利用することが増えており、自由度の高さが地域経済に新たな活力をもたらしている。

 本稿では、地方と都市部でレンタカーの車種に違いが生まれる背景をひも解くとともに、各地域の交通事情や利用者ニーズを深掘りし、地域に最適化されたレンタカーサービスのあり方を明らかにする。

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