私が「日産の復活」を心の底から願う根本理由――リーフからフェアレディZという栄光、技術と体験価値で甦れ【リレー連載】頑張っちゃえ NISSAN(1)
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「技術の日産」再起への道

かつて世界を席巻した日産は、今また大きな岐路に立っている。EVシフトの遅れ、米中市場での苦戦、巨額赤字――逆風は強い。しかし新型リーフやマイクラEVの投入、ハイブリッド戦略、生産体制の再構築など、未来への挑戦は止まらない。 本リレー連載「頑張っちゃえ NISSAN」では、厳しい現実と並走しながらも改革を進める日産の姿を考える。
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かつて「技術の日産」と称され、GT-RやフェアレディZで世界を魅了した日産。だがその輝きは薄れ、国内シェアは約10%にまで低下した。2025年、新CEOイヴァン・エスピノーサ氏のもとで始動した中期経営計画「The Arc」は、失われた“憧れ”を取り戻す挑戦でもある。あの胸躍る日産は、再び帰ってくるのか――。
幼少期に目にしたフェアレディZのレーシングカー。その流麗な姿に心を奪われた記憶は、筆者(中嶋雄司、自動車ライター)にとって日産の象徴だ。
戦後、「ダットサン」として知られた日産は、1966(昭和41)年にプリンス自動車と合併。その時代の最先端技術を基盤に、スカイラインGT-RやフェアレディZなどの時代の寵児を次々と世に送り出した。これにより、日本の経済成長を押し上げ、「技術の日産」のふたつ名をほしいままにしたのである。
バブル崩壊後の1990年代には経営基盤が揺らいだ。だがカルロス・ゴーン体制下での徹底的なコストカットと再編により、日産はV字回復を果たした。2010年代には「リーフ」を発表し、EV時代の先駆けとなった。
しかし、1980年代の約25%という高シェアに比べ、2023年の国内新車販売では10%前後にとどまる。トヨタはもちろん、スズキ、ダイハツ、ホンダに次ぐ5番手という結果となった。なお、2025年1月から8月までの日産国内新車販売シェア(軽自動車含む)は、
・1月:10.5%
・2月:10.1%
・3月:10.5%
・4月:7.1%
・5月:8.6%
・6月:8.9%
・7月:8.9%
・8月:8.4%
となっている。2025年、現場出身のイヴァン・エスピノーサ社長兼CEOが就任した日産。果たして、日産はかつての栄光を取り戻すことができるのか。本稿では、筆者が日産の復活を心の底から願う理由を示す。