オーストラリアで「プラグインハイブリッド旋風」 EV販売シェアを奪う大型車需要――市場の新潮流を考える

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オーストラリアでPHV販売が急増し、新車の5%を占める状況となった。BEVの伸びが鈍化する中、BYD「Shark 6」などPHVが大型車需要を取り込み、EVシフトの現実的な橋渡しとして存在感を高めている。

豪州でPHVの販売台数が急増

自動車。生成AIで作成。
自動車。生成AIで作成。

 サステナブルな社会の実現に向け、電気自動車(EV)への移行は避けられない課題となっている。その一方で、ユーザーにとって移行期の現実的な選択肢となっているのがハイブリッド車(HV)だ。

 HVには外部電源から充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)があり、オーストラリアでは近年、このPHVの販売が急増している。PHVの普及も広い意味ではEVシフトの一環であり、従来のガソリン車に乗り続けるよりは望ましい選択といえる。だが、なぜオーストラリアでPHVがこれほど人気を集めているのか。その背景にはどのようなユーザーニーズがあるのか――。

 オーストラリアでは2025年第1四半期までに新車販売に占めるEVの割合が13%に達した。その中でPHVの販売台数は、この2年間でEV全体の約10分の1から約4分の1に増加した。PHV単体では、新車販売全体に占める割合が1%から

「5%」

へと、わずか1年足らずで急成長している。

 一方で、バッテリー電気自動車(BEV)の販売台数は過去2年間、全体の9%未満で横ばいが続いている。つまりEVジャンル全体の売上を押し上げているのはPHVであり、BEVの伸びが鈍化するなか、PHVがユーザーにとって現実的な選択肢として存在感を強めていることを示している。この状況は、

・充電インフラがまだ十分に整っていない地域
・長距離走行の多い市場

でPHVが受け入れられやすいことを示唆する。BEV単独では達成しにくい“EVシフト”を、PHVが橋渡しする役割を果たしているのだ。

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