「赤ちゃんを守る最後の切り札」──ドクターカーに託された新生児救命、遠隔地で続く終わらない闘いとは
全国の産婦人科医は減少を続け、分娩施設の6割が空白市町村に集中。NICUは稼働率90%超で逼迫するなか、24時間体制のドクターカーが地域医療の格差是正と新生児救命の最前線を支えている。
分娩空白とNICU逼迫

近年、分娩を担う医療機関や施設の集約化が進み、分娩空白市町村が増えている。それにともない、重症新生児を集中的に治療する新生児特定集中治療室(NICU)の需要が高まり、常時ほぼ満床状態が続いている。稼働率は90%を超え、各地のNICUでは緊急搬送を受け入れられないケースが相次いでいる。
こうした状況は、新生児の死亡リスクを高める懸念につながる。そのため地域の基幹病院では、ドクターカーを24時間365日稼働させる体制を整備している。ドクターカーは
「動くNICU」
とも呼ばれ、これにより地域間の医療格差の是正が期待される。