神奈中バス「11路線廃止」の衝撃――日本の中枢に迫る「ドライバー不足」という名の“猛毒”
神奈川中央交通は相模原市緑区で運行する13路線のうち11路線を2027年までに廃止予定だ。平均年齢55歳・給与450万円前後のドライバー不足、1km480円の運行コスト高騰が背景で、地域公共交通の構造的限界を浮き彫りにしている。
神奈中バス路線廃止の衝撃

神奈川中央交通は、相模原市緑区の旧津久井・相模湖・藤野地域で運行する13路線のうち、11路線を2027年3月までに廃止する方針を明らかにした。相模原市は乗り合いタクシーや地域協議会による代替運行の拡大を検討している。住民には衝撃が走っただろう。
日本全体でドライバー不足は深刻化している。路線バスの車両が2ナンバー規格(事業用バス(貸切・路線))に限られる以上、
「大型二種免許保有者」
の確保が必須だ。しかし、運賃収入の低下で給与水準が伸びず、離職が相次いだ。コロナ禍はこれに拍車をかけた。平均給与は450万円程度で、平均年齢は55歳前後の事業者も少なくない。高齢化により、定年後は嘱託雇用で凌ぐケースもある。
2024年以降の労働規制強化も影響している。次の出勤まで11時間の休息確保が求められ、運行数の維持に直接的な制約となっている。規模の大きい事業者ほど、リソースの集中管理が必要だ。
神奈川中央交通は西鉄に次ぐ国内2位の車両保有数を誇るが、規模の大きさゆえにドライバーのやりくりは一層難しい。2030年度にはドライバーが
「約25%不足する」
と見込まれており、現状でも必要数に届いていない。路線数の多さが、運行維持への圧力を増幅している。