神奈中バス「11路線廃止」の衝撃――日本の中枢に迫る「ドライバー不足」という名の“猛毒”

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神奈川中央交通は相模原市緑区で運行する13路線のうち11路線を2027年までに廃止予定だ。平均年齢55歳・給与450万円前後のドライバー不足、1km480円の運行コスト高騰が背景で、地域公共交通の構造的限界を浮き彫りにしている。

協議会で低コスト維持

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 相模原市では乗合タクシーの運行エリアを拡大し、2025年10月から実証運行を開始する予定だ。小型車を活用することで運行コストを抑えられ、運転者の確保もしやすい。予約制などを導入すれば、柔軟な運行にも対応可能である。

 コミュニティーバスは、武蔵野市のムーバスを皮切りに30年の歴史を持つ。しかし自治体とバス事業者の受委託関係下では、バス事業者の人材不足が深刻化しており、運行維持は曲がり角に来ている。

 岐阜県高山市では、まちづくり協議会が車両と人材を確保し、低コストで路線バスの代替運行を行う事例がある。年間コストを50%程度削減しつつ、住民の移動機会を確保できる。既存施設や交通結節点と連携し、自転車や小型車の貸出で枝線を不要化する再編も可能だ。

 DX化が進むなか、AIを活用したオンデマンドバスなど、ニーズ予測に基づくダイナミック運行の研究も進展している。MaaSアプリを活用すれば、利用者誘導を通じて運行効率と顧客満足度を最大化できる。ただし

「高齢者の意識転換」

には教育コストが必要であり、ユーザー教育の重要性は軽視できない。

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