「マニュアルのEV」は本当に不可能なのか? 絶滅寸前1%市場に挑むトヨタの勝算

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世界のEV販売は2023年に約1380万台、前年比35%増と加速するなか、MT車は国内市場シェア約1%にまで後退。効率重視のEVにMTは不利とされるが、トヨタやレクサスは疑似変速やV10音再現で“走る楽しさ”の再生を模索している。

免許構造変化が招くMT離れ

減少傾向にあるMT搭載車(画像:写真AC)
減少傾向にあるMT搭載車(画像:写真AC)

 日本におけるMT車の販売比率は、絶滅危惧種といえる水準にある。日本自動車販売協会連合会の統計では、2019年時点で国産乗用車の

「約98.6%」

がAT車。MT車はわずか約1.4%に過ぎない。2023年には免許取得者の約68%がAT限定を選び、MTを運転できる新規ドライバーはさらに減った。背景には、AT限定免許取得者の急増がある。

 EVシフトもMT車減少を後押しする。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2023年の世界EV(BEV・PHV)新車販売は前年比35%増の約1380万台。新車全体の約18%を占めた。2024年は25%増の約1700万台、全体比率も22%に達すると見込まれる。日本の2024年時点でのEV比率は1%強にとどまるが、技術進歩によって成長余地は大きい。

・運転免許構成の変化
・利便性を重視する消費者志向
・世界的なEVシフト

これら三つの流れがMT車の存続を難しくしている。それでも、MT車を設定し続ける可能性はゼロではない。

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