「宇宙旅行」って、結局いくらするの? 価格破壊で進む個人旅行時代――富裕層が買う体験の資本化とは

キーワード :
宇宙旅行はかつて国家主導の莫大な投資による特権だったが、近年はスペースXら民間企業の技術革新で費用削減が進む。だが、現実には数十億円規模の高額商品として富裕層に限定され、誰もが気軽に行ける次世代旅行とは程遠い。費用低下の裏に潜む市場の実態と課題を読み解く。

10分から90分の宇宙体験

宇宙と人間のイメージ(画像:Pexels)
宇宙と人間のイメージ(画像:Pexels)

 イーロン・マスク氏は2030年代に火星有人飛行を実現し、ひとりあたり10万ドルから50万ドルでの渡航を目指している。

 しかし、現時点で宇宙に行きたい場合はどうか――。

 ブルーオリジンは垂直打ち上げ式ロケット「ニューシェパード」を使い、サブオービタル飛行を提供している。乗客を乗せたカプセルは宇宙空間に達し、パラシュートで地上に帰還する。飛行時間は約10分で、そのうち約5分間は無重力状態を体験可能だ。想定費用は50万ドルだが、初回のオークション落札額は2800万ドルに達した。

 一方、ヴァージン・ギャラクティックはスペースプレーン「VSSユニティ」を使った宇宙飛行を提供している。滑走路から離陸し、ロケットエンジンで宇宙空間へ飛行。90分の飛行のうち5分間は無重力を楽しめ、地球の丸みも目視できる。

 事前訓練や宿泊も含めて短期間での宇宙旅行が可能だ。費用は約45万ドルで、一般的な住宅の購入に近い金額となっている。

全てのコメントを見る