バスの「長さ」はどうやって決まるのか?──輸送力と規制のバランスを考える

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バスの長尺化は輸送力を1.5倍以上に高める一方、規制や都市インフラ整備の課題も浮上している。年収700万円以上の限られた熟練ドライバーの有効活用が急務となるなか、技術革新と政策緩和の両面で効率的導入の道筋を模索する必要がある。2024年のドライバー不足問題を背景に、安定した運行環境の構築がバス事業の経済合理性を左右する。

特殊車両通行許可の課題

バス(画像:写真AC)
バス(画像:写真AC)

 連節バスのような特殊な長尺車両は、道路法および車両制限令に基づき、特殊車両通行許可が必要となる。許可申請は、走行させる道路の管理者に提出する。通常は、試走用と営業運行用の2段階で申請を行う。

 申請書類は主に以下のとおりである。

・申請書本体
・通行経路表および通行経路図
・車両諸元の説明書(図面や寸法データ)
・車検証の写し
・旋回軌跡図、連結時の最小回転半径計算シート
・出発地・目的地の見取り図や付近図

詳細は国土交通省の連節バス導入ガイドラインに記載されている。

 試走や運行ルートの最終決定、道路改修工事の検討には、道路管理者だけでなく警察の関与も必要だ。長尺特殊バスの認可には、この2段階の申請を踏むことが通常であるため、計画から本運行まで1.5年から2年程度を見込む必要がある。

 同ガイドラインのタイムラインによると、本格運行までに長い時間を要する。規制の硬直性が新技術の普及を妨げるとの指摘もある。しかし、規制を緩和し現場で不具合が発生した諸外国の事例を踏まえると、この期間はやむを得ない側面もある。

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