「突走る愛にブレーキはない」──近藤真彦『ハイティーン・ブギ』が映す、現代社会が忘れた“身体の記憶”

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1982年に発売された近藤真彦の『ハイティーン・ブギ』は、移動の自由と青春の情熱を象徴する名曲だ。当時、ホンダやヤマハが牽引した若者向けバイク市場は社会的触媒となり、都市間移動の拡大と共に若者の感情を加速させた。しかし現代、原付免許取得者は20年で半減し、バイク文化は衰退。リモート化やSNS時代に失われた「速度と自由」を再考する視点を提示する。

バイク文化が映す都市の喪失感

近藤真彦『ハイティーン・ブギ』(画像:RCAレコード)
近藤真彦『ハイティーン・ブギ』(画像:RCAレコード)

 1982(昭和57)年6月30日、RVC(RCAレコード)から発売された近藤真彦のシングル『ハイティーン・ブギ』は、たのきんトリオ全盛の時代にリリースされ、その後映画『ハイティーン・ブギ』の主題歌としても強く記憶されている。

 作詞は松本隆(元はっぴいえんど)、作曲は山下達郎。キャッチーで洗練されたメロディーと、不器用で直情的な青春像を描いた歌詞。40年を優に超えたときを経てなお、この楽曲は色褪せることなく、むしろ

「現代の喪失」

を浮き彫りにする鏡として蘇っている。

 その理由は、懐メロとしての感傷でも、レトロブームによる消費的再評価でもない。そこには、移動の自由、速度の意味、そして何より、バイクという“媒介”を通じた生と感情の交差点が記録されている。『ハイティーン・ブギ』が不朽である理由を、私たちはいま一度、バイクという装置を通して読み解く必要がある。

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