9000億円の再開発は誰のため? 築地プロジェクトが抱える「70年固定」という呪縛――「計画ありき」で失われる都市の“余白”とは

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築地市場跡地の再開発は総事業費9000億円、工期12年の大規模計画だ。用途が70年間固定されるため、変化する都市ニーズに対応しづらく、土地が「負の資産」となるリスクを孕む。建設費高騰や人手不足も不確実性を高め、未来志向のスローガンが本質を覆い隠すなか、都心更新の真価が問われている。

築地跡地の未来と課題

築地地区まちづくり事業(画像:東京都)
築地地区まちづくり事業(画像:東京都)

 東京都と三井不動産などによる複合事業体が進める築地市場跡地の再開発「築地地区まちづくり事業」。オフィスやホテル、MICE施設に加え、5万人を収容する大規模集客施設を中核とする拠点の建設を目指す。

 ここでいうMICE施設とは、企業の会議や報奨旅行、学会、大型展示会など多様なビジネスイベントを開催する施設を指す。地域経済の活性化にも期待がかかる重要な役割を担う。だが、

・空飛ぶクルマの発着場
・タワーマンション内の小学校

など、現実の都市需要と乖離した要素も次々と盛り込まれている。

 しかし、プロジェクトの全体像に対し、違和感を抱く声は少なくない。都市の土地は年単位ではなく、世代単位で固定される貴重な資源である。この再開発が本当に「都心の更新」と呼べるのか。その本質が問われている。この再開発で際立つのは、

・工期の長さ
・総事業費の規模

だ。約19万平方メートルの敷地に約117万平方メートルの延床面積を積み上げる。総額は9000億円。着工から完成まで12年を要する計画である。

 工期が長期化しているのは、旧市場跡地の地下にある構造物撤去など基盤整備の複雑さに加え、膨大な労働力や資材を一度に確保できないため、段階的な工事計画となっているからだ。

 しかし、12年後の都市ニーズや人口動態の変化は誰にも予測できない。現在の建設費高騰や人手不足も、5年前にここまで深刻になるとは想像しづらかった。都と事業者が掲げる最先端の発想も、完成時には過去の産物となっている可能性が高い。

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