高速道路「深夜割引」再延期、本当に“ETC障害”のせいなのか? 得をするのは誰か――運送業界が怯える「コスト増」の懸念
					深夜割引の再延期、その裏に見えるのは単なる障害対応ではない。割引時間帯の拡大と見せかけ、実はコスト抑制を狙う新制度。労働法制や現場の実情と乖離する設計が生む矛盾と混乱。制度疲労が露呈するなか、延期は準備不足ではなく、「逃げ道」なのかもしれない。				
				
				ETC障害を口実にした制度移行

2025年5月28日、東日本・中日本・西日本の高速道路3社は、7月開始予定だった深夜割引制度の見直しを再び延期すると発表した。名目上の理由は、4月に発生したETC大規模障害への対応である。
だが、この一報に接した瞬間、疑問が湧く――。果たして、単なる技術的トラブルによって、国家の重要物流インフラに関わる制度変更が2度にわたり延期されるだろうか。仮にその説明が事実だとしても、そこには
「延期を許容するだけのインセンティブ」
が、料金制度の内部に潜んでいたのではないか。
問題の本質は、障害発生ではなく、それを口実に深夜割引の最適タイミングを測るという経営判断が働いている点にある。いい換えれば、今回の再延期は、制度上の“出口戦略”を模索する動きでもある。