自動車メーカーが「サブブランド」強化に動く根本理由 EV時代に問われる差別化戦略とは?

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近年、自動車メーカーのサブブランド戦略が収益拡大やブランド価値向上の要として台頭している。トヨタ「GR」やスバル「STI」などが多様な顧客層を獲得し、販売の約4割を占めるモデルも登場。EV普及やカーボンニュートラル対応で役割が拡大し、技術検証の場としても重要性を増すサブブランドの実態と戦略を探る。

スバルSTIが築く上質スポーツ像

 各社のサブブランドは独自の戦略で市場に定着し、現代の自動車市場で重要な役割を果たしている。なかでもトヨタの「GR(GAZOO Racing)」は代表的存在だ。

 GRは「GR SPORT」「GR」「GRMN」という3段階のヒエラルキーを設けている。エントリーモデルから本格スポーツ、限定車まで体系的に展開し、幅広い層から支持を集めている。

 また、スバルの「STI Sport」は単なる速さの追求にとどまらない。「動的質感」と「静的質感」の向上を魅力とする。専用開発のダンパーやシャシーチューニングによって、しなやかで応答性の高いハンドリングを実現。手触りの良い本革や緻密なステッチを施したインテリアも特徴だ。

 これらの要素が融合し、「大人のための上質なスポーツモデル」という独自のポジションを確立した。スバルが長年培ってきた「走りの良さ」というブランドイメージを、より洗練された形で具現化したことが成功の要因だ。

 そして新たな潮流として注目されるのが、マツダが2024年東京オートサロンで発表した新ブランド「MAZDA SPIRIT RACING」である。マツダの公式サイトによると、同ブランドはスーパー耐久シリーズ参戦で培った技術やノウハウを市販車にフィードバックし、「速さ」と「質感」の両立を目指す。

 会場で披露された「MAZDA SPIRIT RACING RS concept」は、ローダウンされた車高やエアロパーツ、専用の足回りを備えている。既存のマツダ車が持つエレガントさに、サーキット由来の機能美を融合させた姿を示した。

 これはマツダが掲げる「人馬一体」の走りをさらに先鋭化させ、新たなファン層を開拓しようとする強い意志の表れであり、今後の展開が非常に期待される。

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