首都高で見かける「AH1」という標識――いったいどんな意味?

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江戸時代から続く日本橋は、国内道路網の起点としてだけでなく、約2万1000kmに及ぶ国際道路網「アジアハイウェイ1号線」の起点でもある。だが地政学的課題や法的未整備が現実的運用を阻み、構想は依然として道半ばにとどまる。未来の交通戦略を見据え、接続可能性を軸にその意義を再考する必要がある。

“起点”の象徴が抱える法的空白

アジアハイウェイの標識(画像:国土交通省)
アジアハイウェイの標識(画像:国土交通省)

 かつて江戸幕府の成立とともに整備された五街道。その中心が日本橋だった。江戸を起点とし、旅の出発点であり終着点でもあった。

 現在も、日本橋は日本の道路網の起点とされている。その象徴が、首都高速都心環状線の高架下、橋の中央に設置された「日本国道路元標」だ。道路元標とは、道路の起点・終点・経過地を示すための標示物である。

 橋のたもとには記念モニュメントがあり、これを元標と勘違いする人も少なくない。実際の元標は、車道の中央に埋め込まれている。交通量が多くて確認しづらいため、たもとにレプリカが設置されているという事情がある。

 もっとも、橋の中央にある元標も本物ではない。現在、道路元標に関する明確な法的根拠が存在しないため、実物とされるものもあくまでレプリカに過ぎない。

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