日産はなぜ「メイド・イン・チャイナ」に賭けるのか? EV「N7」の可能性と「グローバル拠点化」へ挑む28年間、大勝負の行方どうなる
中国での生産から輸出までを集約した新体制で、年10万台の海外展開を視野に入れる。カギを握るのは、N7の高性能と価格競争力、そして「中国製」への制度・心理的壁の突破。脱・日本製の覚悟が問われる局面だ。
購入者35歳以下が「7割」

中国広東省・広州市にある工場で生産される「N7」は、都市部に住む30代前半のファミリー層を主なターゲットとしたミッドサイズセダンである。東風日産のラインナップにおいて、中核を担うモデルに位置づけられている。同社によれば、購入者の約7割が
「35歳以下」
であり、その多くが初めて日産車を選んだという。快適性と知能化を訴求したマーケティング戦略が、若年層に受け入れられた格好だ。
N7のソフトウェアには、ディープシークの技術が採用されている。このため、N7を海外に輸出するにはソフト仕様の変更が避けられない。今後設立される合弁会社は、通関業務だけでなく、
「ソフトウェアに関する輸出許可の取得」
なども担当する可能性がある。輸出先として想定される東南アジア(アセアン)市場では、価格競争力が最大の武器となる。すでにトヨタや三菱などの日系メーカーが市場を押さえており、BYDや長城汽車、上海汽車のMGブランドといった中国勢も進出している。加えて、ベトナム資本のビンファストも攻勢を強めている。
アセアン諸国におけるEV普及率にはばらつきがあるが、インドネシアやタイでは政府の支援もあり、2030年までにEV比率が2割程度に達するとの予測がある。
日産がこの市場で低価格EVを展開し、中国ブランドとの競争に打ち勝つには、既存の販売ネットワークをいかに活用するかがカギとなる。加えて、これまで培ってきたブランド認知の浸透度も成否を左右する重要な要素となるだろう。