日産はなぜ「メイド・イン・チャイナ」に賭けるのか? EV「N7」の可能性と「グローバル拠点化」へ挑む28年間、大勝負の行方どうなる

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中国での生産から輸出までを集約した新体制で、年10万台の海外展開を視野に入れる。カギを握るのは、N7の高性能と価格競争力、そして「中国製」への制度・心理的壁の突破。脱・日本製の覚悟が問われる局面だ。

中国製EVで攻勢強化

日産自動車・N7(画像:日産)
日産自動車・N7(画像:日産)

 日産がなぜ中国からの輸出ビジネスを加速させる決断に至ったのか。これまでの発表内容から、その背景を検証する。

 日産と東風汽車が出資比率50%で設立した合弁会社「東風汽車有限公司」は、2023年に創立20周年を迎えた。2023年11月11日に開かれた記念式典では、新たな戦略「DNA+」を発表。新エネルギー車(NEV)の積極展開を打ち出し、2025年からの車両輸出開始と、年間10万台の輸出目標が掲げられた。

 さらに、2025年5月13日に日産が公表した再建計画「Re:Nissan」でも、中国からの輸出事業に関する方針が示された。ひとつは、多様化するグローバルニーズへの対応として、中国製車両の輸出を通じた供給体制の強化。もうひとつは、大型スポーツタイプ多目的車(SUV)需要の高い中東市場への供給拠点として、中国を活用する検討が明らかにされた。一連の方針から見えてくるのは、日産が中国からの輸出強化を

「既定路線」

として戦略的に進めているという事実である。

 その動きをさらに後押ししたのが、2025年4月に発売された新型NEV「N7」の販売好調だ。東風日産は2025年6月16日、広州市で開催した創立22周年イベントにおいて、N7の販売台数が発売からわずか1か月半で2万台を突破したと発表した。

 N7は、中国のAIスタートアップ「ディープシーク」の技術を導入したことでも話題を呼んでいる。グレードは5種類あり、最廉価モデル「510 Air」は11.99万元(約240万円)、最上位の「625 Max」は14.99万元(約300万円)という価格帯に設定されている。人件費や部品コストの低さを背景に、高いコストパフォーマンスを実現した。

 駆動用バッテリーは58kWhと73kWhの2タイプ。CLTCモードでの航続距離は、それぞれ510kmと635kmに達する。急速充電にも対応しており、10%から80%までを約19分で充電可能だ。

 加えて、ソフトウェアとUX(ユーザー体験)でも進化を遂げている。新たに独自開発した「天演アーキテクチャ」を搭載し、モメンタ社と共同開発した高度運転支援技術「ナビゲート・オン・オートパイロット」も採用された。

 N7は、日産が日本国内では実現困難なコストと開発スピードを最大限に発揮したモデルといえる。ソフトとハードの両面での進化により、従来の製品との明確な差別化も図られている。

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