千葉県で「データセンター反対運動」が起きている根本理由――駅前一等地の計画はなぜ住民の怒りを買ったのか?

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デジタル社会の「縁の下の力持ち」データセンター。日本市場が4兆円超に拡大するなか、千葉県印西市では市税収の51%を占める一方で、駅前開発を巡り住民の反対が噴出。なぜ、不可欠なインフラが「街の不協和音」となるのか。その深層に迫る。

人口増加率全国3位の実力

データセンターのイメージ(画像:写真AC)
データセンターのイメージ(画像:写真AC)

 では、データセンターは本当にネガティブな存在なのか。確かに雇用効果は限定的だ。建設期を除けば、稼働後の常勤人員は少ない。一方で、税収面での貢献は極めて大きい。

 千葉ニュータウンは、かつて計画人口34万人を掲げた首都圏最大級のニュータウン構想だったが、実現せず「失敗事例」として語られてきた。だが印西市は、2018年に人口10万人を突破し、現在は11万人超に達している。2024年には人口増加率1.2%で全国3位にランクインした。

 背景には、都心部の住宅価格高騰がある。相対的に割安な印西市の住宅価格と交通利便性が再評価された結果だ。加えて、データセンターがもたらす多額の税収によって行政サービスが充実し、住環境の魅力が高まっている。

 データセンターは建物・設備が高額なため、通常施設とは比べものにならない固定資産税収を生む。一度建設されれば長期間使われるため、自治体にとっては安定した財源となる。

 この税収効果により、印西市では2024年9月から学校給食費を無償化する。子育て世帯にとって魅力的な施策であり、人口増加を後押しする構図が明確になりつつある。

 2024年の「住み続けたい街ランキング(大東建託調査)」首都圏版で、印西市は3位にランクインした。

「データセンター税収 → 市民サービス充実 → 人口増加 → 税収増加」

という好循環が形成され、持続可能な自治体運営のモデルが確立されつつある。

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