千葉県で「データセンター反対運動」が起きている根本理由――駅前一等地の計画はなぜ住民の怒りを買ったのか?

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デジタル社会の「縁の下の力持ち」データセンター。日本市場が4兆円超に拡大するなか、千葉県印西市では市税収の51%を占める一方で、駅前開発を巡り住民の反対が噴出。なぜ、不可欠なインフラが「街の不協和音」となるのか。その深層に迫る。

固定資産税51%の重み

 千葉県印西市が“データセンター銀座”として注目される背景には、10年以上にわたる都市基盤の着実な整備と災害リスクの低さという地理的優位性がある。北総線や外環道・圏央道の整備により、東京からのアクセス利便性が大幅に向上した。地盤が堅牢で地震リスクが低いことから、企業の電算センターやバックアップ施設の立地先として高く評価されている。

 データセンターの進出は2000年代初頭から始まった。郵政省(当時)や大手銀行が相次いで立地を決めた。加えて、印西市と千葉県は企業誘致のため、優遇税制や助成制度を整備した。これがデータセンター需要と合致し、進出が増加した。

 結果として、印西市の財政に占めるデータセンターの比重は大きくなっている。2024年度の市税収入に占める固定資産税の割合は

「51.0%」

に達し、市税の過半数を占めた。固定資産税収は2020年度の101億6300万円から2024年度には154億9500万円へと、5年間で45億600万円増加した。

 この成果により、印西市の財政力指数は全国平均を大幅に上回る「1.04」となっている。財政力指数とは、地方自治体の財政基盤の強さを示す指標である。自治体が独自にどれだけ財源を確保できるかを示し、標準的な行政サービスを提供するために必要な経費を賄う能力を表す。数値は0を基準とし、1以上であれば自治体が自立的に財政運営できる余裕があると判断される。逆に1未満の場合は国からの財政支援に依存する度合いが高いことを意味する。地方交付税の配分基準のひとつとしても用いられ、自治体の財政健全度や政策実行力の評価に重要な役割を果たしている。

“データセンター銀座”としての集積効果は明確である。

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