なぜ横浜・野毛は「若者が殺到する街」になったのか? オシャレ再開発はもうウンザリ? 築古物件が育む600軒の多様性が生んだ「街の若返り」経済学とは
横浜・野毛地区は約600軒の飲食店がひしめき、来街者の約32%が20代以下と若年層に支持されている。低家賃と駅近の利便性が、個人店や実験的店舗の参入を促進。再開発エリアと異なる多様性を背景に、若者の都市消費行動の変化を支える構造的な若返りを実現している。
検証4「若年層の交通動線と滞留戦略」

野毛地区の立地は、若年層の行動パターン、特に夜間のレジャー行動において戦略的な優位性を持つ。
JR桜木町駅や京急日ノ出町駅から徒歩数分という距離が、電車圏内での飲酒や外食を可能にしている。終電やタクシー代を気にせずに飲み歩ける立地は、コスト感度の高い若者にとって大きな魅力となる。
国土交通省が2015(平成27)年にまとめた「都市における人の動きとその変化~平成27年全国都市交通特性調査集計結果より~」によれば、通勤・通学以外の移動回数は男女ともに大幅に減少している。特に休日の「買物以外の私用」(観光・食事・遊びなど)に関する移動は、男性で0.90回から0.34回、女性で0.82回から0.45回と、半分以下に落ち込んだ。
こうした移動頻度の減少傾向のなかで、野毛の立地は若者ニーズに適合する。桜木町・日ノ出町の両駅から徒歩圏にあることで、移動コストを抑えながら都市的な余暇を楽しむ選択肢となっている。