率直に問う 電動キックボードは「原付扱い」に戻すべき?――違反2.5万件が暴く都市の秩序崩壊危機

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2023年の道路交通法改正で電動キックボードの免許不要化が進む一方、交通違反は1年で2万件超に達した。利便性拡大の影で公共秩序の維持は危機に瀕し、制度設計の根本的欠陥が露呈している現状を分析する。

「知らない者」が道路に出る社会

 道交法を知らない者が、都市空間の中で時速20kmで移動する──この現実に対し、政策担当者はいかなる説明責任を果たしているのか。

 技術の進歩に合わせて制度を柔軟に設計することは必要であるが、それは知識と責任をともなう者だけに許される自由である。

 電動キックボードの免許不要化は、「知らないこと」を許容することで成り立つ制度である。そして知らないことが無害である世界は、すでに過去のものとなった。

 法と秩序が崩れれば、コストを支払うのは常に社会全体である。「移動の自由」を保障するために、本来、制度は知識の前提に立脚するべきである。その原点が覆されたまま、公共空間に自由だけが放たれている。

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