率直に問う 電動キックボードは「原付扱い」に戻すべき?――違反2.5万件が暴く都市の秩序崩壊危機

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2023年の道路交通法改正で電動キックボードの免許不要化が進む一方、交通違反は1年で2万件超に達した。利便性拡大の影で公共秩序の維持は危機に瀕し、制度設計の根本的欠陥が露呈している現状を分析する。

統計と事例で見る混乱

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 警察庁の統計によれば、特定小型原動機付自転車の交通違反検挙件数が急増している。2023年7月施行から1年間で累計2万5156件に達した。内訳では通行区分違反が1万3842件(55%)、信号無視が7725件(31%)で、いずれも基本ルール違反が中心である。

 同時期の交通事故は219件。負傷者は226人に上ったが、死亡例は確認されていない。事故の7割超は東京都で発生し、9割以上がレンタル車両によるもの。運転者の過半数は20代であった。

 しかし、問題は統計だけでは捉えきれない。東京都港区では2023年10月、22歳の男子大学生が電動キックボードで70代歩行者に衝突し、太ももの骨を折る重傷事故が発生した。大学生は飲酒運転を認めている

 制度面での構造的な欠陥も浮き彫りになっている。免許制度が適用されないため、点数制度による運転者管理が機能せず、再教育や指導の枠組みが存在しない。加害者は事故後も教習や再試験の対象となっていない。

 その結果としての現状は、「フィードバック機構のない制度設計 = 制度の抜け穴」を生んでいるといわざるを得ない。

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