率直に問う 電動キックボードは「原付扱い」に戻すべき?――違反2.5万件が暴く都市の秩序崩壊危機

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2023年の道路交通法改正で電動キックボードの免許不要化が進む一方、交通違反は1年で2万件超に達した。利便性拡大の影で公共秩序の維持は危機に瀕し、制度設計の根本的欠陥が露呈している現状を分析する。

問われる政策の修正可能性

電動キックボード(画像:写真AC)
電動キックボード(画像:写真AC)

 2021年4月に開始された試験運用において、電動キックボードは原付扱いで管理されていた。

・免許
・ヘルメット
・車道走行

という三原則は、煩雑さはあれども交通秩序の混乱は最小限に抑えられていた。この制度を継続していれば、現在のような法令無知による混乱は起きていなかった可能性が高い。

 にもかかわらず、政府は利便性と利用者数の拡大を優先し、交通安全や制度の一貫性を後回しにした。導入初期において想定された

・利用者の自主的学習
・ヘルメット着用の常識化

といった希望的観測は、現実の運用において脆くも崩れている。仮に今、制度を原付扱いに戻せば、多くの事業者が市場撤退を余儀なくされることは避けられない。しかし、それを恐れて見て見ぬふりをするなら、都市の安全保障は民間の都合によって侵食され続けることになる。

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