駅前「シャッター商店街」が放置されている根本理由──解体も継承も進まない複雑な経済構造とは

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駅前のにぎわいと裏腹に、地方商店街は空き店舗が目立つ。住居兼店舗の構造的制約や老朽化、所有者の合理的判断が流通を妨げ、再生を遠ざけている現実に迫る。

空き店舗保有者の半数超の消極姿勢

 商店街の空き店舗が動かない理由は、経済的損得や制度上の問題だけではない。そこには、所有者の感情や自由意志といった非経済的要因が存在している。

 少し古いデータではあるが、中小企業庁が2008(平成20)年に実施した「空き店舗所有者の意識等に関する調査」がその感情面をよく示している。この調査対象の所有者のうち、空き店舗を「手離すつもりはない」と答えた者は全体の32.5%に上る。さらに「わからない・どちらともいえない」(37.7%)を含めれば、過半数以上が消極的な姿勢を示している。

 空き店舗を売却しない理由としては、代々の土地に対する思い入れやこの場所へのこだわり、子どもへの相続といった感情的理由が最も多い。調査のコメント欄には、次のような声が並ぶ。

・土地は父が残してくれたもの。土地には父と母の思い出がある
・根なし草の人生はいやである
・親の代から引き継いでいるものなので、手放したくない
・先代が戦前土地(借地)を持たずに建物を建て退去させられた経験がある

このように、収益が上がらず経済的利益が得られなくても、感情的な判断が資産の運用や流通を止めているのだ。

 一方で事業としての継続性はなく、店舗が子や孫の世代に引き継がれることもない。結果として、使われない空き店舗が何十年も街に残り続ける構図が生まれている。活性化策を考える際には、「なぜ動かないのか」を経済合理性だけで捉えるべきではない。所有者の感情や記憶といった非経済的要因にも目を向ける必要がある。

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