駅前「シャッター商店街」が放置されている根本理由──解体も継承も進まない複雑な経済構造とは

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駅前のにぎわいと裏腹に、地方商店街は空き店舗が目立つ。住居兼店舗の構造的制約や老朽化、所有者の合理的判断が流通を妨げ、再生を遠ざけている現実に迫る。

固定資産税6倍のワナ

シャッター商店街のイメージ(画像:写真AC)
シャッター商店街のイメージ(画像:写真AC)

 それ以上に問題は、所有者が物件を動かす合理性を感じていない点にある。例えば、店舗を撤退させるには建物の解体が必要だ。小規模な木造2階建の場合、解体費用は坪単価3万円、総額で100~200万円とされる。これは所有者にとって大きな負担である。

 一方、空き家であっても建物を維持していれば、固定資産税の軽減措置「住宅用地特例」が適用される。200平方メートル以下の小規模住宅用地であれば、固定資産税の課税標準は最大で6分の1に軽減される。つまり、更地にすれば税負担が最大で6倍に跳ね上がる。すぐに売却できなければ、その分のコストが重くのしかかる。結果として、

「建物を壊さず、ただ置いておく」

という選択が現実的な対応になる。埼玉県が実施した調査でも、「貸さなくても売らなくても差し支えないため」と回答した割合は33.0%に達した。経済的に困窮していない所有者にとって、あえて費用をかけて動かす理由は見当たらない。ごくわずかな固定資産税を支払いながら、漫然と物件を維持し続けているのが実情だ。

 本来は、建物を解体して早期に売却するのが理想だろう。しかし、それは現実的ではない。特に地方都市では、狭小な店舗用地に買い手がつく可能性は低い。仮に売れたとしても、解体や手続きにかかる費用が売却益を上回る可能性がある。

 シャッター商店街において、古いアーケードの一角にマンションが建っているような風景を見かけることがある。それは、偶然にもうまく売却できた“幸運な例”だといえる。結局のところ、何もしないという選択肢が、他のあらゆる選択肢よりも合理的と見なされている。それが、地方のシャッター商店街を止められない根本要因となっている。

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