駅前「シャッター商店街」が放置されている根本理由──解体も継承も進まない複雑な経済構造とは

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駅前のにぎわいと裏腹に、地方商店街は空き店舗が目立つ。住居兼店舗の構造的制約や老朽化、所有者の合理的判断が流通を妨げ、再生を遠ざけている現実に迫る。

多数合意求められる壁

シャッター商店街のイメージ(画像:写真AC)
シャッター商店街のイメージ(画像:写真AC)

 商店街の空き店舗対策として、再開発がしばしば取り上げられる。だが、たとえ大手デベロッパーが関与したとしても、実現には長い時間がかかる。その最大の要因が、土地所有の分断である。

 多くの商店街では、個人が所有する小規模な区画が密集している。このため、再開発には多数の地権者の同意が必要になる。現行制度では、再開発組合の設立や権利変換には、原則として多数の賛成が求められる。少数でも反対があれば、計画は簡単に頓挫する。

 合意形成をさらに難しくするのが、再開発による恩恵が均等に分配されるとは限らない点だ。たとえば、再開発後に高層ビルを建て、下層階に店舗、上層階に住居を配置するケースを考える。営業中の店舗にとっては、どの位置に、どれだけの面積で戻れるかが死活問題になる。一方、住宅利用者にとっては、新たに与えられる住宅区画の広さや条件が最大の関心事になる。

 それぞれの事情や利害が異なる上、近年では権利者の所在確認から始めなければならない例もある。こうした背景により、地権者全体の合意形成には相当の時間を要する。

 しかも、再開発が必ずしも成功するとは限らない。大阪市阿倍野区の事例では、計画の長期化と設計変更によって動線の確保が不十分となり、一部のエリアにのみ人が集中した。その結果、賑わいの偏在が生じ、空き店舗が再び発生する事態となった。

 このように、土地所有の分断に加えて、再開発による利益の感じ方にも大きな差がある。こうした温度差こそが、再開発や地域再生を困難にしている構造的な要因である。

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