日産「ノート」輸出は再建の救世主となるのか? 国内10万台超えの絶対エース――円安追い風も、潜む保護主義とEV減速の現実
日産が主力のハイブリッド車「ノート」を海外市場に初輸出へ。2024年国内販売10万台超の戦略モデルを九州生産に集約し、世界で拡大するHV需要654万台の波に乗る狙いだ。EVシフトの逆風下、独自技術「e-POWER」の競争力と収益性を問う重要な試金石となる。
「ノート」輸出報道の意味

2025年5月21日、複数のメディアが報じたところによると、日産自動車が国内向けに展開してきた小型車「ノート」の輸出を検討している。ノートは、独自のハイブリッド技術「e-POWER(イーパワー)」を搭載し、神奈川県横須賀市の追浜工場で生産されている。
現在、日産は追浜工場の閉鎖を視野に入れている。この方針にともない、ノートの生産を福岡県苅田町の日産自動車九州に移す案が有力とされる。
2024年のノートの国内販売台数は10万1766台。乗用車ブランド別では4位で、日産車としては最も売れている主力モデルである。
そのノートを海外市場に送り出す動きは、販売拡大を狙う戦略的な一手とも、e-POWERという技術資産の延命策とも見える。
本稿では、ノート輸出を日産再建の象徴的な転換点として捉え、その意義と成否を検証する。