韓国・中国に敗北? LNG船受注の現実! 「400億円」超えで高騰、なぜ日本は「作れない国」になったのか
脱炭素を追い風に急拡大するLNG市場で、運搬船の争奪戦が激化している。高度な技術と設備を要するため造船対応は一部企業に限られ、韓国勢が世界の6割を占拠。供給制約が価格高騰に拍車をかけるなか、日本勢は静かに舞台を去った。
建造費2倍超の衝撃

近年、液化天然ガス(LNG)を輸送するLNG運搬船の建造費が急騰している。背景には、世界のエネルギー需給の変化、地政学的リスク、造船業界の需給逼迫といった複数の要因がある。
LNG運搬船は、天然ガスをマイナス162度まで冷却し、液化した状態で輸送する専用タンカーだ。液化によって体積は約600分の1まで圧縮されるため、大量輸送が可能となる。
この種の船は極低温の液体ガスを扱うため、球形または膜型の特殊なタンクを備える。貯蔵には高度な冷却技術と断熱構造が求められる。さらに、安全な航行のために専用の操船システムや特殊な航行技術も必要となる。
設計・建造には高い技術力が必要で、通常の貨物船と比べて圧倒的に難易度が高い。そのため、対応できる造船所は世界でも限られており、建造費の上昇が市場全体に波及している。