日産「ノート」輸出は再建の救世主となるのか? 国内10万台超えの絶対エース――円安追い風も、潜む保護主義とEV減速の現実
日産が主力のハイブリッド車「ノート」を海外市場に初輸出へ。2024年国内販売10万台超の戦略モデルを九州生産に集約し、世界で拡大するHV需要654万台の波に乗る狙いだ。EVシフトの逆風下、独自技術「e-POWER」の競争力と収益性を問う重要な試金石となる。
為替・貿易政策リスクの現実
日産が輸出を拡大するにあたっては、そのリスクに十分な注意が必要だ。円安を追い風にすれば、一定の利益増は見込める。ただし、世界各国が保護主義に傾くなかで、それは容易に落とし穴ともなり得る。
米中貿易摩擦の影響は依然として懸念材料だ。トランプ政権下で成立したIRA(インフレ抑制法)も見直しが進んでおり、政策変更のリスクがある。EUでは、来年から炭素国境調整措置(CBAM)の本格運用が始まる。生産過程での炭素排出量に応じた課金が輸入製品に課される見通しだ。
こうした動きは、自由貿易体制の揺らぎを意味し、日産のグローバル戦略に大きな影響を与える。状況の変化に応じ、戦略を短期間で柔軟に見直す姿勢が問われている。
日産は、アライアンスパートナーであるルノーおよび三菱自動車との分業体制を見直している。その中で、e-POWERをどう位置づけるかが、今後の輸出戦略を大きく左右する。
EVを軸に据える再建計画との整合性も問われる。軽EVやリーフに注力する一方で、HVを海外展開する動きは一見すると矛盾にも映る。ただし、e-POWERの輸出には明確な意味がある。完全なEVを受け入れにくい新興国に対し、EVに近い走行感覚を提供できる技術として、e-POWERは有効だ。
日本発のハイブリッド技術として、e-POWERを技術的な付加価値として位置づけられるかどうかがカギとなる。どの地域で、それが通用するのか。ハイブリッド技術の輸出を通じて、その可能性が問われる局面にある。