日産「ノート」輸出は再建の救世主となるのか? 国内10万台超えの絶対エース――円安追い風も、潜む保護主義とEV減速の現実
日産が主力のハイブリッド車「ノート」を海外市場に初輸出へ。2024年国内販売10万台超の戦略モデルを九州生産に集約し、世界で拡大するHV需要654万台の波に乗る狙いだ。EVシフトの逆風下、独自技術「e-POWER」の競争力と収益性を問う重要な試金石となる。
HV需要の地政図と日産の現在地

電気自動車(EV)需要の減速を受け、ハイブリッド車(HV)の世界需要が拡大している。2024年のHV世界販売台数は654万台。前年比で18%の増加となった。
一方で、地域ごとに需要動向は分かれつつある。欧州では、2035年に予定されているエンジン車の新車販売禁止が緩和される方向にあり、合成燃料など選択肢が広がっている。北米ではEVシフトに一服感が出始め、HVやプラグインハイブリッド車への関心が高まっている。アジアや新興国では、EV普及に不可欠なインフラ整備が進まず、エンジン車ベースのHVに安定的な需要が期待されている。
こうしたなかで、トヨタはHVでグローバル市場を席巻している。2023年の販売台数は423万台。北米やアジアを中心に堅調な実績を維持している。対照的に、日産のHV販売は39万台にとどまる。トヨタの10分の1以下であり、この分野は事実上の“空白地帯”となっている。
日産にとって未開拓のHV市場に参入する余地はあるのか。結論からいえば、ボリュームゾーンで勝負できる領域は見当たらない。価格帯、商品性、参入地域の選定に加え、市場投入のタイミングも重要になる。今後のHV戦略には、綿密な判断と的確な資源配分が求められる。