日産「ノート」輸出は再建の救世主となるのか? 国内10万台超えの絶対エース――円安追い風も、潜む保護主義とEV減速の現実

キーワード :
,
日産が主力のハイブリッド車「ノート」を海外市場に初輸出へ。2024年国内販売10万台超の戦略モデルを九州生産に集約し、世界で拡大するHV需要654万台の波に乗る狙いだ。EVシフトの逆風下、独自技術「e-POWER」の競争力と収益性を問う重要な試金石となる。

e-POWERとは何だったのか

技術の仕組み(画像:日産自動車)
技術の仕組み(画像:日産自動車)

 日産のハイブリッド技術「e-POWER」は、エンジンを発電専用とし、車両の駆動は電気モーターのみで行う点が特長だ。これに対し、トヨタやホンダのHVは、エンジンとモーターのいずれか、あるいは両方を使って走行する。両方式には構造的に大きな違いがある。

 e-POWERは国内市場で一定の評価を得ているが、技術的な制約も抱える。特に高速走行時の燃費効率が低く、汎用性には限界がある。

 このシステムは、バッテリー残量が減るとエンジンが自動的に発電を行うため、外部充電は不要だ。蓄電された電力でモーターのみを駆動し、EVに近い走行感覚を実現する。EVとHVの中間に位置づけられる技術といえる。

 日産は、次世代となる第三世代e-POWERで、初代モデル比でコストを20%削減し、燃費を20%向上させると発表した。さらに、米国市場での課題であった高速走行時の燃費も大きく改善するとしている。

 e-POWERは、日本や東南アジアでは有効なハイブリッド技術とされる。しかし、EVシフトが再び加速すれば、その技術的価値は急速に薄れる可能性がある。国内市場では支持されていても、グローバル市場で通用するかどうかは未知数だ。ノートの輸出は、e-POWERの競争力を世界市場で試す試金石となる。

全てのコメントを見る