物流クライシス、やはり「規制緩和」は失敗だった? 倒産328件…疲弊するトラック業界、賃上げもできず! 崩壊寸前のインフラ
儲からぬ物流の錯覚成長

新規参入の激増によって過当競争が起き、運賃は下落を続けている。多くの運送事業者は、採算ラインを大きく割る料金で仕事を請けざるを得ない状況にある。規制緩和後には、運賃のダンピング(不当廉売)が横行するようになった。以前から指摘されてきた問題だが、改善の兆しはほとんど見られない。
全日本トラック協会の「令和5年度経営分析報告」によれば、全体の営業損益率はわずか0.6%。経常損益率も2.2%にとどまる。特に深刻なのは車両10台以下の零細事業者で、経常損益率はマイナス0.7%だった。
営業損益率0.6%というのは、100万円分の仕事をしても、利益はわずか6000円という水準である。経常損益率でも、100万円の売上に対して残る利益は2万2000円しかない。零細事業者の場合、同じ売上で7000円の赤字になる計算だ。
「走れば走るほど赤字」
「本業だけでは食っていけない」
状態が常態化している。一方で、この報告書では売上高が回復基調にあると記載されている。2022年度と2023年度を比較すると、次のような数値が並ぶ。
・2022年度の売上高(全事業収入):2億554万2300円
・2023年度:2億6710万5000円
貨物運送事業収入(営業収益)は、
・2022年度:2億5383万円
・2023年度:2億6400万7000円
見かけ上は、仕事量が増え、業界全体が回復しているようにも見える。しかし、損益率は依然として低迷しており、零細事業者では赤字が続いているのが現実だ。背景には、
・人件費
・燃料費
・車両コスト
の急騰がある。にもかかわらず、運賃単価はほとんど上がっていない。さらに売上のなかには、本業とは無関係な補助金や助成金といった一時的な収入も含まれており、実態以上に業績が改善しているように見せかける構造になっている。つまり、
「走っても儲からない構造」
は何も変わっていない。外部からの延命措置によって、業界全体がかろうじて維持されているだけだ。このままでは収益性が確保できず、ドライバーの待遇改善など、実質的な健全化にはつながらない。