高速道路「逆走事故」はなぜ減らないのか? 年間200件超! 高齢者7割が陥る「魔の構造」、対策の狭間で繰り返される悲劇を考える
					2025年、東北自動車道の逆走事故で死者3人を含む14人が負傷。NEXCOのデータでは逆走件数は減少傾向も依然高水準で、75歳以上が約半数を占める。複雑なIC構造と高齢ドライバー増加が背景にあり、構造改善や高齢者対策、最新技術の導入が急務だ。				
				
				地方に多い平面交差ICの課題

全国で深刻化している高速道路の逆走問題だが、その発生原因は都市圏と地方部で異なる。高速道路の構造が背景にあるが、両者の事情は大きく違う。
都市圏では、限られた立地条件のなかでICやジャンクション(JCT)が無理に建設されているケースが多い。例えば、首都高7号小松川線の錦糸町ランプや一之江ランプは、入線路と出線路の一般道接続部分が隣接している。そのため、右折で高速に入る際に出線路へ入ってしまう恐れがある。
また、首都高5号池袋線・埼玉大宮線と東京外環自動車道の分岐点である美女木JCTは、立地の都合からJCT内に信号が設置されている珍しい例だ。看板や路面表示で進行方向は案内されているが、進路を誤るリスクは完全には排除できない。
一方、地方部では平面交差が多い。東北道の黒磯板室ICや中央道の上野原ICなどが該当する。建設費用や予算の制約、交通量の関係が大きな要因だ。圏央道の千葉県内、木更津市・市原市・茂原市の区間のICも平面Y型構造が目立つ。
ドライバーは、都市圏と地方部でICの構造が異なることを知っておくべきだ。こうした知識の積み重ねが逆走防止につながる。安全運転には道路と交通の基礎知識を身につけることが欠かせない。