高速道路「逆走事故」はなぜ減らないのか? 年間200件超! 高齢者7割が陥る「魔の構造」、対策の狭間で繰り返される悲劇を考える

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2025年、東北自動車道の逆走事故で死者3人を含む14人が負傷。NEXCOのデータでは逆走件数は減少傾向も依然高水準で、75歳以上が約半数を占める。複雑なIC構造と高齢ドライバー増加が背景にあり、構造改善や高齢者対策、最新技術の導入が急務だ。

半世紀設計に潜む逆走リスク

ドライバーに逆走を知らせるための看板(画像:写真AC)
ドライバーに逆走を知らせるための看板(画像:写真AC)

 高速道路を日常的に利用していても、進行方向が直感的にわかりづらい場所は少なくない。特に、利用頻度の低いICでは、出入口の動線を誤らないか不安を覚える場面もある。

 そもそも高速道路は、最初の路線開通からすでに半世紀以上が経過している。当時、逆走が社会問題として顕在化するとは想定されていなかったはずだ。

 例えば中央自動車道の上野原IC(山梨県)では、入線と出線が交差する構造になっており、信号によって進行方向を分けている。私が子どもの頃から「この構造で誤進入は起きないのか」と疑問を抱いていた。

 近年は逆走問題が注目され、対策も徐々に進んでいる。しかし、既存の構造物や看板配置、予算制約などの要因により、物理的に構造を変更しにくい地点も多いのが実情だ。

 進行方向とは逆側にストッパーなどの物理的装置を設置する案もある。ただし、これもコストや車両損傷のリスクを考慮すると、導入は容易ではない。

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