「机上で決めた愚策」 地方を置き去りにした“日本版ライドシェア”迷走中! 東京偏重、稼働ゼロ…高齢者無視のアプリ、全国展開の意味はあったのか?
二種免許を持たない一般ドライバーが有料で乗客を運ぶ「日本版ライドシェア」が導入されて1年が過ぎた。地方にも徐々に拡大しているが、利用状況は厳しい。
大都市圏より低い利用回数

二種免許を持たない一般ドライバーが有料で乗客を運ぶ「日本版ライドシェア」が導入されて1年が過ぎた。地方にも徐々に拡大しているが、利用状況は厳しい。和歌山県和歌山市の紀の川北岸、住宅と工場が混在する街並みをライドシェアのステッカーを張った車が客を迎えに走りだす。運転するのは市内のタクシー大手・ユタカ交通で事務員をする永井宏樹さん(48歳)。金曜と土曜の夜だけライドシェアの運転手をしている。
永井さんは長く勤めた警備会社を退職し、2024年にユタカ交通へ転職した。路線バスや電車が最終便の運行を終えた時間帯を中心に客を10回以上乗せた日もあるという。「花見の送迎を任されるなど常連もできつつある。でも、収入はよくて月5万円程度。儲かる仕事やない」
和歌山市など和歌山交通圏では、2月からユタカ交通など和歌山市のタクシー3社が運行を始めた。国土交通省和歌山運輸支局によると、4月前半の半月で3社合計96回の利用があった。この期間の車両1台1時間当たりの利用回数は約0.6回。全国平均の約0.3回を上回るものの、東京23区の約1.5回、名古屋交通圏の約1.7回など大都市圏には及ばない。許可車両は3社合計で5台なのに、稼働しているのは3台。参入会社の和歌山第一タクシーは
「ドライバーを確保できない。大学生に照準を当て、探すことも考えている」
と苦しい胸の内を打ち明けた。