リニア中央新幹線だけじゃない! 80年代、横浜で「世界初」営業運転があった! なぜ短命に? 幻の技術と夢の跡

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1989年、バブル景気の熱気が生んだ“もうひとつのリニア”が横浜に誕生していた。JALが主導した磁気浮上式車両「HSST」は、最短2034年に延期された中央新幹線よりも先に、世界初の営業運転を果たしていた。その技術と幻の空港アクセス計画を辿る。

リニア中央新幹線はいつ実現するのか?

愛知高速交通東部丘陵線(画像:愛知県)
愛知高速交通東部丘陵線(画像:愛知県)

 リニモは、HSST方式による短距離輸送の新たな可能性を実証した。ただし、その姿は1970年代の子どもたちが夢見た新幹線より速い未来の乗り物とは異なる。そうした夢を具現化する存在は、やはり超電導リニア技術を基盤としたリニア中央新幹線だろう。しかし、その実現には多くの課題が立ちはだかる。

 環境面では、南アルプストンネル(静岡県区間)の掘削により、大井川の水量減少が懸念されている。あわせて、トンネル掘削による山林の破壊や生態系への影響も指摘されている。静岡県は、これらを理由にトンネル工事への同意を保留している。

 経済面でも問題は多い。JR東海は当初、約7~9兆円を投じて2027年の開業を目指していたが、工事費の高騰によりさらなる費用増が見込まれている。巨額の建設費に見合うだけの利用者を確保できるかは不透明だ。また、財政投融資などの公的資金が投入されており、間接的に国民がその負担を担う構図となっている。

 計画の面でも不透明さが残る。品川~名古屋間の先行開業を掲げる一方で、名古屋~大阪間については具体的な工事計画が立っていない。

 安全面にも懸念がある。超高速運行における耐震性の確保が課題とされており、特に長大なトンネル区間では災害時の安全性に対する不安が根強い。

 こうした課題は一朝一夕で解決できるものではない。なかでも環境問題は深刻で、開通そのものが本当に最善の選択なのかという根本的な問いが突きつけられている。静岡県がトンネル工事に同意しない限り、リニアの開業はさらに遠ざかる。果たして、半世紀以上にわたる研究の結晶が日の目を見る日は訪れるのだろうか。

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