なぜ「バスタ新宿」は1日2.5万人も集めるのか? 再評価される高速バス、全国で進む「バスタ」整備の現実とは
全国的に進む「バスタ」開発。鉄道やタクシーとの接続強化、利便性向上を目指すこの取り組みは、観光や地域活性化にも貢献。新宿の「バスタ新宿」では1日約2万5000人が利用、今後は全国7カ所で開業予定。公共交通の未来を担う高速バス拠点の進化を追う。
再評価進む高速バス需要

しかし、高速バスのニーズそのものが縮小したわけではない。今後は、インバウンドによる利用の増加も見込まれる。現在、訪日客の多くは新幹線を利用しているが、リピーターが増え、観光先が地方へと広がることで、高速バスの利便性が再評価されるだろう。
さらに、働き方改革によって運転手の労働環境が改善され、雇用が拡大すれば、運行系統数や輸送人員の再びの増加も期待できる。一方で、乗用車の保有台数は2000年代後半から伸びが鈍化している。近年は頭打ちの状態が続いている。代わりに、カーシェアリングの会員数が急速に増えている。
このような動きから、将来的な道路交通は「個人所有」から
・シェア利用
・公共交通
へとシフトしていくと見られている。高速バスをはじめとする公共交通の役割がさらに重要になる可能性がある。
こうした流れを踏まえ、国土交通省では道路開発の重点を「リンク(道路網)」から「ノード(交通拠点)」へと移す方針を示している。これまでは高規格幹線道路の整備によってネットワークの拡充が進められてきたが、今後は交通ネットワーク全体を一体的に管理できる拠点づくりが重視される。
道路交通のあり方が変化しているとはいえ、現時点ではその変化を実感しにくい部分もある。しかし、高速バスの乗降場を1か所に集約するだけでも、利用者にとっては大きな利便性向上につながる。