JR恵比寿駅で「ロシア語隠し」トラブル そもそも多言語表記はいつ始まったのか?
JR東日本が恵比寿駅西口改札内にあるロシア語の乗り換え案内表示を覆い、インターネット上で話題になった。そもそも多言語表記はいつ頃から盛んになったのか。
恵比寿駅で起きた問題
JR東日本が、恵比寿駅西口改札内にあるロシア語の乗り換え案内表示を紙などで覆っていたことがインターネット上で話題になった。乗客からクレームがあったという。紙には「調整中」と書かれていた。
東京新聞の報道によれば、当初JR東日本は「複合的に判断した」などと説明していたが「過剰反応だ」と多くの批判が寄せられたことを受けて、4月15日になって
「ニーズがあるため」
として、紙を外すことを決めた。
この案内表示が設置されたのは2018年ごろで、東京五輪の訪日客増加を狙ったり、ロシア大使館が日比谷線の神谷町駅近くにあったりするためだったという。
日本国内の公共交通機関や道路標示の多言語表記は、実に多様だ。筆者は世界のさまざまな国に足を運だが、多言語に対応している国はない。大抵は、その国で主に使われている言語だけ。外国人観光客が多い地域で英語がわずかにある程度だ。もちろん、日本語の案内はまず見かけない。
韓国の釜山地下鉄では、車内で日本語のアナウンスが流れるが、すべての駅ではなく日本人観光客が利用しそうな停車駅のみ。これでも随分と親切だ。
観光庁が2019年に実施した「公共交通機関における多言語表記調査」によれば、調査対象となった全国の交通結節点80か所で
「ほとんどの分岐点で日本語がある場合は英語でも案内がなされていた。地域によっては外国人の利用状況を踏まえ、中国語・韓国語・その他の言語も確認できた」
としている。